コチラの記事ではピッチングのクイック投球について解説いたします。
クイックモーションの考案者である野村克也さんや球界No.1クイックモーションの横浜DeNAベイスターズの久保康友選手の解説を交えて注意点や小学生にクイックは必要なのか?を分析しご紹介しています。
ピッチング〜フォーム編〜をご覧になっていない方は先にコチラをお読みください。
- ピッチング -フォーム編- Part.1…..<内容:下半身の使い方
- ピッチング -フォーム編- Part.2…..<内容:プレートの使い方
- ピッチング -フォーム編- Part.3…..<内容:体重移動とは?
- ピッチング -フォーム編- Part.4…..<内容:肩の開き,テークバック
- ピッチングの極意と故障について…….<内容:極意と故障
ピッチング 〜実践編〜はコチラ
- コントロール編…..<内容:コントロール身につけ方,考え方,練習方法
- ピッチングの配球と構えについて…..<内容:配球とセットポジション、ワインドアップ
その他ピッチングの前に、ボールの握りや基本的なスローイングについての記事をご覧になっていない方はコチラからどうぞ。
- 正しいボールの握り
- 正しい投げ方を覚える Part.1…..<内容:テークバック,アーム投げ
- 正しい投げ方を覚える Part.2…..<内容:トップの位置,グローブの手の使い方
※ 記事の中は右投げを例として解説しているため、左投げの人は足の向きなど逆にならないように注意してごらんください。
クイックの重要性と注意点
ランナーが塁にいるときに「盗塁されたくない」「スタートを少しでも遅らせたい!」という目的で使われることが多いクイックですが、そもそもクイックとは何なのか?というところからご説明しましょう。
クイックって何?
クイックとは簡単に言うと、一部の投球モーションを省略して素早く投げる投球スタイルのことです。
例えば…
- 足を高く上げて投げていたのを、足を上げずに投げる
- テークバックを大きくとっていたのを、省略しいきなりトップの位置にもってくる
- 体重移動を極力減らす
などが挙げられます。
クイックモーション考案者
実は、投球時のクイックを考えたのは「東北楽天ゴールデンイーグルスの元監督,野村克也さん」だったのをご存知ですか?
野村克也さんの現役当時、最速と言われていた「福本豊さん」の盗塁をどうやって刺そうかと考えた結果がこの「クイックモーション」だと言われています!
それが今や日本では当たり前のように浸透しており、ピッチャーなら誰でも身につけなければならない常識として存続しています。
クイックは重要なのか?
クイックの重要性なんですが、かなり重要だと言えると思います。
野村克也さんも「ランナーの盗塁の責任はほとんどピッチャーにある!」ということを著書でおっしゃられています。
高校生くらいのレベルになればキャッチャーの肩も強くなってくるので、ランナーからすれば「良いスタート」というのが非常に大事になっており、良いスタートをきられてしまえば、どんなに肩の強い捕手でもランナーを刺すのはほぼ不可能なのです。
ですから、ピッチャーというのは良いスタートをきられない為にクイックを身につけることが非常に重要なんです。
小学生にクイックは必要ない
上記ではクイックは重要であると述べましたが、筆者は「小学生に関してはクイックは必要ない」と思っています。
矛盾しているように思えますが、コントロール編でも解説したように、小学生にとって最も重要なことはストライクを投げることです。
クイックモーションというのは少なからず投球動作のどこかしらを省略して投げることになるので、「投球の安定していない」「下半身などの体ができていない」小学生の子供たちには非常に難しい動作になります。
プロ野球選手でもクイックで投げることにより、球威が落ちたり、コントロールがバラついてしまったりということはあるのに、小学生であればなおさらです。
メジャーリーグ(MLB)でもパドレスというチームは盗塁阻止率がリーグ最下位に沈んでいますが、その理由が、「変にランナーを気にして打たれるくらいなら、ランナーを気にせず、打者を抑えればいい」という考えだそうです。
それが勝敗を左右するのか…という詳しいことは分かりませんが、小学生にとっては非常に理にかなった戦法ではないでしょうか。
そもそも小学生の捕手は肩もそれほど強くないので、少し足の早い子であればだいたいの盗塁は成功するでしょうから、ピッチャーは変に気を使うのではなく、ストライクを取ることに専念すれば良いと思います。
クイックの投げ方と注意点
クイック投球の投げ方を解説いたします。
投げ方と言っても人それぞれの投げやすい投げ方でいいとは思いますが、いくらクイックだからといってバランスを崩してしまえば暴投になってしまたりする可能性があるので体や足のバランスは絶対に重視していただきたいです。
プロ野球選手で球界No.1と言われているクイックモーションはDeNAベイスターズの久保康友選手です。
画像を見てもらえれば分かるかと思いますが、両膝を曲げて、足を広げてセットポジションで構えています。
そうすることでステップ幅を狭めて高速で投げることができます。
この投げ方自体はさほど難しくはないのですが、練習していない人が投げると、とにかくバランスが悪くなります。この投げ方で球威やコントロールをさほど変えることなく通常通り投げることのできる久保選手が素晴らしいのです。
クイックで一番重要になるのは「軸足」と「トップの位置」です。
足を高く上げることができないため、軸足を使って体重移動をしなければなりませんし、ショルダーファースト(体から突っ込む)のを防ぐ効果もあります。
要領としては、軸足の膝を内側に入れるイメージでいいと思います。
膝を内側に入れることにより、勝手に体重の力が移動されていき、モーションに繋げることができます。
次にトップの位置ですが、コントロールを左右する一番大事なところです。
トップの位置の解説記事 を読んで頂ければ分かると思いますが、クイックとはいえ、このトップの位置は絶対に同じでなければいけません。
ピッチング練習する際はクイックモーションで軸足とトップの位置の意識をもってすれば最低限のクイックはできるようになります。
まとめ
小学生にとってクイックモーションは必要ないでしょう。
トップの位置が安定してできている子なら練習させてみてもいいかとは思いますが、正直クイックより他の練習をさせた方が良いかと思います。
試合で使うかは別として、中学生くらいから少しずつ挑戦してみてはいかがでしょうか?
どちらにせよ、上のレベルに行けば必ず必要な投球モーションになるので、練習の際は指導者の方がしっかりついて見てあげましょう。
次は牽制について解説していきます。