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野球の化学的考察シリーズ、今回は『バットを短く持つ効果について』を解説していきます。

「バットを短く持て!」という言葉を、野球経験者なら誰でも聞いた事があるかと思います。

 

しかし、実際にバットを短く持つことにより、どのような効果があって、またその理由を理論的に説明できる人がいますか?

誰でも知っている言葉でも、意外に本当の答えは知らないものなのです。

 

そこで、この記事では一般的に言われている「バットを短く持つことの効果」理論的に解明してご紹介していきます。

 

 

バッティングの前の基本をご覧になっていない方はコチラからお読みください。

 

バッティング〜フォーム編〜はコチラ

 

化学的考察シリーズ『打撃編』はコチラ

 

 

バットを短く持つ意味とは?

 

まず、バットを短く持つことによって、どのような効果が発生するのか、ということを考えなければなりません。

 

一般的に言われる効果を挙げてみましょう!

 

  • スイングがコンパクトになる
  • バットコントロールが高まる
  • スイングスピードを上げる

 

他にも似たような意味にはなりますが、「振り遅れを防ぐ」や「インコースを捌く」など様々な効果を発揮すると言われています。

 

しかし、上記で挙げた事柄は、果たして本当に効果を発揮しているのでしょうか?

 

それでは、これから各項目を詳しく、研究結果を交えて解説していきます。

 

スイングはコンパクトになるのか?

「バットを長く持った場合と短く持った場合の、スイングの特徴」を調べた研究があるのでご紹介します。

 

これによると、バットを短く持った時の方がバットの回転スピードは増加し、バットを長く持った方がヘッド速度が大きくなる。

という結果が出ています。

 

<疑問>

それでは何故、バットを短く持った場合に、回転スピードが増加する一方でヘッド速度が低下したのでしょうか?

 

まずはスイング時のバットが回転する中心位置が、通常よりもヘッド側にシフトします。

その結果、慣性モーメント(回転がしにくい指標)の低下により、回転スピードは増加したものの、回転の中心からヘッドまでの距離が短くなったためにヘッド速度が低下したのではないかと考えられています。

 

 

また別の研究では、バットを短く持つことによって「バッターにどのような動きが表れるのか」について調べた結果があります。

 

踏み出し足が設置する際に、短く持った時の肘の関節の角度が、通常より左右ともに5度程度小さくなっていた。

また、踏み出し足を接地してからインパクトまでの、体幹と骨盤の回転範囲にも違いが表れ、バットを短く持った時の方が、より回転範囲が小さくなった。

という結果が報告されています。

 

<解説>

つまり、短くバットを持つことにより無意識に肘をたたんだ状態になってしまい、「コンパクトに振ろう」という意識が働き、それがスイング動作に表れていたと言えると思います。

 

スイングスピードとスイング時間

バットを短く持つことの効果として、スイング時間が短縮されるとの見解もありました。

実はバットを短く持った場合と長く持った場合の、スイングの所要時間を調べた人がおられました。

 

 

<結果>

バットを長く持っても、短く持っても、スイング開始からインパクトまでの時間は変わらなかった。

つまり、バットを短く持つことでスイング時間を短縮できるわけではなく、ヘッド速度も低下させるという結論に至っている。

 

 

ただし、インパクト直前の体の回転スピードは高くなり、インパクト直前でヘッドを走らせるような動きが生まれるため、振り遅れを防ぐことにつながる可能性はあるということです。

 

振り遅れを防げるということは、ボールをできるだけ呼び込みスイングすることが可能になるため、ボールの見極めやバットコントロールを上げるといった本来の目的にかなう可能性はあるということですね。

 

 

結論

以上のことを分かりやすくまとめます。

 

<一般論>

  1. スイングがコンパクトになる(スイング時間が短くなる)
  2. スイングスピードを上げる
  3. バットコントロールが高まる

<結論>

  1. スイングの時間自体は変わらない!
  2. ヘッド速度と回転速度の増加になる!
  3. バットコントロールについては、まだ化学的に解明できていない。

 

まとめ

いかがでしたか?

バットを短く持つことにより、メリットとデメリットが浮き彫りになりましたね。

短く持った場合、ヘッド速度が落ちてしまうということは、インパクト時に力負けしてしまう可能性があるということです。

しかし、理論上は振り遅れには対応できる可能性はあるということなので、実践で球威のあるピッチャーにあたったときには、短く持って対処しても問題はなさそうですね。

また、回転速度も上がるため、インコースのボールへの対応も理論上は可能になります。

 

このように、メリットやデメリットが存在しますが、各打者の特徴に合わせて応用していけば、立派な武器になることは間違いないでしょう。

 

 

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